痔核には外痔核、内痔核があり、よく出血したり、脱出したりするのは内痔核です。これは肛門の内にあり、脱出していないと外からは見えません。内痔核は症状の程度によってⅠ度からⅣ度に分類されます。
小さく脱出しない | ||
排便のとき脱出するが、自然に元へ戻る | ||
排便のとき脱出し、手で戻さないといけない | ||
排便時以外にも長時間の立位や歩行時に脱出する |
※Ⅲ度、Ⅳ度は手術の適応とされています。
Ⅱ度、Ⅲ度の内痔核は、今までは手術による切除と短期の入院を要しましたが、最近はALTA療法という薬剤を注射し、縮小させて固まらせる方法ができました。これは日帰りででき、痛みも少なく、費用も入院・手術に比べて安く、同等の効果が得られます。20年~30年と脱肛を患っていた方がALTA療法によって翌日から脱肛がなくなったという場合もあります。当院でもALTA療法を行なっております。
ALTA療法とは、「脱出を伴う内痔核」にジオン注を投与して痔に流れ込む血液の量を減らし、痔を硬くして粘膜に癒着・固定させる治療法です。
痔核を切り取る手術と違って、痔核の痛みを感じない部分に注射するので「傷口から出血する」「傷口が傷む」というようなことはなく、入院期間の短縮も期待できます。
ジオン注の有効成分は硫酸アルミニウムカリウム水和物とタンニン酸というものです。
- 硫酸アルミニウムカリウム水和物…出血症状や脱出症状を改善する
- タンニン酸…硫酸アルミニウムカリウム水和物の働きを調節する
ジオン注を投与する前に肛門周囲への麻酔か、下半身だけに効く麻酔を行い肛門周囲の筋肉を緩め注射しやすくします。麻酔法については先生にご確認ください。
ジオン注はひとつの痔核に対して図のように4ヵ所に分割して投与します。これは痔核に薬液を十分に浸透させるための方法で、四段階注射法といいます。複数の痔核がある場合には、それぞれに投与します。投与後しばらく点滴を続け、麻酔の影響がなくなるまで安静にする必要があります。
- 投与後の早い時期に痔核へ流れ込む血液の量が減り出血が止まります。脱出の程度も軽くなります。
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投与した部分が次第に小さくなり、引き伸ばされていた支持組織が元の位置に癒着・固定して、脱出がみられなくなります。
(1週間~1か月)
裂肛(切れ痔)は、急性裂肛とイボやヒダのできる慢性裂肛があり、どちらも排便時の痛みと少量の出血を伴います。慢性裂肛の治療には手術を要する場合があります。
裂肛(切れ痔)は大抵の場合、硬い便を無理に出した場合に肛門の皮フが裂けておこります。座薬又は軟膏と便を固くしないようにすれば治ります。しかし、くり返すとその部分が潰瘍となり、肛門が狭くなってなかなか治らなくなり慢性化します。その場合は手術が必要となります。
痔瘻は、肛門の廻りに化膿部分が生じ(肛門周囲膿瘍と言います)、これが自然につぶれて(もしくは切開して)排膿した後、いつまでも分泌物(膿)が少しずつ出続ける状態で、大抵の場合、肛門の内と皮フの下でつながるトンネル(痔管)があります。
痔瘻は肛門内と肛門の周囲の皮フとの間にトンネル(瘻管)ができますので、これを取り除く必要があります。手術による方法と時間はかかりますが、ゴムヒモを通して治す方法があります。これは通院で日常生活をしながら治せます。
- 医院名
- たつみクリニック
- 診療科目
- 消化器内科・外科・肛門科
- TEL
- 078-252-2430
- 住所
- 〒650-0001 神戸市中央区加納町2丁目9-14
- アクセス
- 市営地下鉄新神戸駅から徒歩3分、市バス加納町2丁目バス停から徒歩1分